私は多分他のオタクの方よりあまりアニメを観ない方で、どっちかというと、漫画や小説をポンポン買って何度も読み返す方です。
田舎育ちの田舎暮らしだと、「アニメ未放映地域」ばっかりだから、アニメを観る習慣がなくてな!(ネット配信が浸透してきた頃には、もう社会人でな!)
というわけで、定期的に本屋へ行って、ふらっと見て回っては、今までレビューとかも見たことないような気になる本をどさっと買って帰ることが多いです。
1巻だけ買って超好みだと、続刊を読みたくて仕方なくなるので、数巻出てて気になるやつは、失敗覚悟で全巻買って帰ります。こないだはfate/stay night 20巻まとめて買って帰った!
やばいくらい好みだったので、続編出費が確定しているんですけども。これはアニメも観よう。
このfateまとめ買いした時に、店頭でこんな漫画を見つけました。
1話無料お試し冊子がぶら下がってたので目を通したんですけど、「うだつの上がらない毎日を送っていた派遣OLさんが、美容カウンターで素敵なBAさんに励まされて、BAに転職する話」でした。
このブログし始めてから、コスメ漫画ってないのかな~って思ってて、いくつか探してたんですけど、あまりお見かけせず。
「コスメの魔法」くらいかな?
店で単行本を発見したのは初めてだったので、6巻までまとめてその場で買って帰りました。
「リメイク」はBAあるある漫画
1巻の1話でBAに転職しようって決意するので、そっからはずっとBAになった主人公のお話です。
きっつい先輩とやり合ったり、売上(数字)と「お客様のため」の間で葛藤したり、自分のメイクやスキンケアのことでも悩んだり。
営業職に就いてる方にも理解できそうな、社内の競争とか、同期との実績比べとか、社会人的には日々の仕事を思い出して辛くなるような描写もあります(笑)
少女漫画(女性向け漫画? って言うのかな?)なので、恋愛もかなり前面に出てます。
少年漫画等でバトル山盛り&伏線バリバリ&どんでん返し的なストーリー展開に慣れているオタク的には、かなり物足りない作品ではあります。
失礼を承知で言うと、「漫画」としてはそんなに滾るわけではないかな、って感じ。BAさんの話じゃなかったら買わなかったな。
ただ、内容がですね、BAあるあるなんですよね!
- お客様のためと思って、「その場で買って帰ってもらう」選択じゃなくて、「サンプル渡して一度帰ってもらう」選択は正しいのかどうか
- お客様のためを思って選んだはずの商品が、「自分から見たお客様」のためのものになっていないか
- 自分のところで取り扱ってる商品で自分の肌が荒れて心が荒む
- 他店の応援に行くと自分の駄目な接客が目立って辛い
- 「きれいになれた」って喜んでもらえることが何より嬉しい
- 家族や友人のメイクやスキンケアに何か手を加えてあげたくなる
- 自分の仕事は「女優になること」だと思う
- 実家に帰ると女優じゃなくていいから、何か泣きそうになる瞬間がある
- 休日にプライベートな友達と出かけると、メイクが濃いって言われるw
読んでる途中で何度も
あああああああああ痛い辛い厳しいめっちゃわかる!!!
って本閉じて呻いてました。
BAの仕事ってこんなの
どんな仕事でもやっぱり、「適性」は存在すると思うんですよ。
仕事をするために共通して、「コミュニケーション能力」とか「改善のために試行錯誤する力」とかも必要だとは思うんですけど、その仕事に大事な、性格や価値観や能力の「適性」がありますよね。
BAは割と、「競争が好き」「個人個人に興味を持つ」っていうところが重要だと思ってます。
新商品の紹介回数とか、タッチアップ回数とか、販売金額とか、常に上を目指さなきゃいけないことが多いので、同期や先輩との競争、順位を付けられことに燃える人はとても向いています。
実際、私のお店にも、競争が大好きで順位が付かないとやる気が出ないという頼もしい方がいます。本当に毎日生き生きと、「黒河さん、今何位か見てください!」「他店には絶対負けない!」と熱意を注いでいるので、尊敬します。
あと、就活の時なんかに「お客様の喜ぶ顔が見たい」とか「人の助けになると嬉しい」とかぼんやりした話が出てきますけど、こういううたい文句が出てくる職業って、「個人に興味を持つことができるかどうか」にかかってると私は思ってます。
- 髪切って雰囲気変わったな
- 服装が変わって似合うな
- 今日のネイル可愛いな
- 最近元気ないな、疲れてるのかな
- 今日はすごく楽しそう、いいことあったのかな
こういう個人の、外から見える変化に興味を持って、気づいて声をかけてあげられる人っていうのが、上記のような能力を持ってる人なんですよね。
BAじゃなくても、「さっきからずっとうろうろしてるな、探し物かな」なんて個人に興味を持って、さっと声をかけに行ける人は、テーマパークのスタッフさんやホテルマンさんみたいなサービス業でも重要ですよね。そういう方がいらっしゃる職業が、「お客様の喜ぶ顔が見たい」とかってうたってるんでしょう。
BAは割とそこがすごく重要です。
お金も絡むし、アドバイザーに意見をもらって付けてもらったりするんだから、自分の意見は言いづらいな、って思ってらっしゃるお客様はすごく多いです。
だからこそ、口ごもってしまうお客様の
- 何をお求めになってきたのか
- どういうアドバイスをお求めなのか
- どんなメイクをしたいと思っているのか
- どんな悩みを改善したいと思っているのか
みたいな、お客様の外見や仕草から、要望を拾い上げる能力が必要になってきます。
- ナチュラルメイクをされてるけど、年相応にしっかりしたメイクをしたいと思っているのかも
- たくさんお悩みをあれこれ仰ってるけど、一番気になってるお悩みはどれかな?
- 本当に今ご紹介したアイテムで喜ばれているかな?
なんて、常に目の前のお客様に目星・心理学・アイデアロール振るのが、BAの仕事です。
BAになるってこういうこと
主人公かのこちゃんは、上記のBAの適性が、かなり無い子です(笑)
本人も薄々感づいてて、自分ってBAに向いてないのかもって、何度も考えかけては考えないようにしてます。
割と真面目で優しくて、競争より調和が好きなタイプの子なので、お客様にも真面目でマニュアル通りの受け答えをしがちだし、順位を付けられても特に燃えません。
今6巻まできて、ちょっとずつ成長してきてるところなので、今後どんなBAさんを目指していくのか、とても気になります。
そんでこのかのこちゃんな、私にめっちゃ似ててな。
「真面目」って良い風に聞こえるけど、裏を返すと「頭が固い」ってことなんですよ!
雑談とか振られてても、「私はBAだから」「商品のご紹介しなきゃ」ってのが頭にあるから、商品の話しちゃうんですよ! 接客下手だよごめんね!
競争で最下位になっても別に悔しさは感じないし、どっちかというと華やかに接客して売れるBAさんたちのサポートとかの方が得意なんですよ。
かのこちゃんが作品内で失敗する度、「うわあああ私も通った道だよそれ!」って一緒に泣きそうになりました。つら。
でも、馬鹿みたいに頭が固いからする失敗もあれば、馬鹿みたいに頭が固いからできることもあって。
他のBAさんが苦手に思うようなお客様でも、いつものマニュアル通りに丁寧に接客したお蔭で気に入られたり。
ちょっと気難しいお客様に、いつもと違うお手入れを提案出来て、喜んでもらえたり。
もう何か、色んな意味で、読んでる間ずっと泣きそうな漫画でした。
作品内で、かのこちゃんが先輩たちに色んなお言葉をもらいます。
その中でも、上司であるBAさんがくれた言葉が、とても心に響く。
「私ね、時々思うの。どんなに頑張っても、元々美しい人には敵わないんじゃないかって。けれど、今までの仕事を通して、自分を女優だと思うことにしたわ。『美しい人』を演じているうちに、それが自然で当り前のことになった」
そうだね、BAの私ってそうやって作られていくよね。
それで、お客様にもその「自分をキレイだと思える」心や技術を、分けてあげられるようになりたいよね。
推しの試合結果に感動したり、推しを襲った悲劇に涙したりしたことは数あれど、こんなに実生活に根付いて心臓がじくじくするような涙がこぼれたのは初めてでした。
美容業界にいらっしゃる人、これから美容業界を目指そうとしている人、美容業界に興味がある人、今の仕事と自分のやり方に悩んでる人には、おススメしたい漫画です。
特にBAさんを目指している人は、一度読んでみると良いですよ。
BAの楽しいところ、嬉しいところ、きついところ、厳しいところ、たくさん勉強になると思います。