友人に質問されました。
「化粧品について相談しようと思うんだけど、実際カウンターとかにいる美容部員(ビューティアドバイザー、以下BA)さんって、どうやって質問されたら困らない?」
なるほど!
私はいつも相談される側なので、困っている方が
- 何を質問すればいいか
- どう質問すればいいか
- 何を準備すればいいか(心構えや基本情報など)
を不安に思っていることを忘れがちでした。
というわけで、本日はカウンターにいるBA側の意見として、こういう風に言ってくれたら相談に乗りやすいですよ、という話をします。
ぶっちゃけ、BAの脳内ネタバレをします。
BAに相談したいなとぼんやり考えたことがある人、店頭で悩んでる時に話しかけられてどう対応すれば良いかわからなかった人など、参考にして頂けたら!
基本的にネタバレ内容としては、
- 情報は1つでも多い方が嬉しい
- 明確なビジョンを提示してほしい
- 相談相手は選んでね
の3つです。
ぶっちゃけ、
BAさんってメイクばっちりの綺麗な人が多いから、相談に行くのは恥ずかしい
という人も多いと思います。
しかし、BAも人間です。色々います。
中学の時から化粧が大好きだった人もいれば、日焼け止めも塗らずにすっぴんで真夏にチャリ漕いでた奴もいます(私です)
みんな、経験と技術と知識で、「綺麗に見せる」技能が上がっただけです。
そしてその「綺麗に見せる」技能が誰かの役に立ってほしいなと思っている人がほとんどです。
BAは壁の向こうの超大型巨人でも、歴史改変をもくろむ敵組織でも、黒いルフで堕転した金属器使いでもありません。
思う存分活用してください。
(美容部員=ビューティカウンセラー:BCと呼ぶこともありますが、この記事内はBAで統一しておきます)
1.基本ステータスの開示を要求する!
まずはあなたの肌状態、抱えている悩みを教えてください。
一応こちらもプロなので、少し観察すれば、
- 現在のメイクの傾向
- 現在の肌状態
辺りは見当がつきます。
ただ、この「現在の」というのが、ネックになります。
例えばアニメ公式イベント昼の部参戦の帰りに、なくなってた化粧水買いに来られた方がいたとします。
「いや、イベントの余韻はすぐに持ち帰って、家でレポイラスト描いて支部に上げます」と思われるかもしれませんが、そういう設定にしてください。
「今日は」イベントのために(暗いライブ会場に行くから)がっつりメイクをして、イベントのために「数日前から」お手入れがんばってたから化粧ノリが良い。しかしいつもはナチュラルメイクが好きで、ニキビができやすい肌質なんです、とか。
私たちBAがその場で得られる情報だけでは、わからないことが多いです。
コートの王様が実は孤独を抱えた選手だったなんて、同じチームにならなきゃわからない。
なので、相談される時は、ありのままのあなたを教えてください。
- 普段はこういう肌状態(メイクを好む)
- こういう悩みをなくしたい(隠したい)
- 今までこういう化粧品を使ってた(けれども改善しないor改善はしたが、もっと良くしたい)
などなど、普段の基本ステータスを教えて頂けると、大変うれしいです。
BAもお尋ねはしますが、それを聞かれると思ってない方が多いようで、聞いても見当外れな返答がきたりします。
BA的には、「結論(提案)を出さなければならないから、ひとつでも多く情報が欲しい!」と思ってます。
情報不足で出した結果がご満足頂けないのは、悔しいですから。
次にその方が店に来られた時に、声をかけてくれなくてもいいから、笑顔で綺麗でいてくださるのが、何よりもほっとします。
ああ、こないだ私がオススメしたものは、あの方のお役に立ったんだな! と1人でひそかに喜びたいんです(笑)
ついでにうちの店であの商品を繰り返し買っていくお得意さまになってくれるかな! という下心もあります。
勿論、声をかけてもらって、「こないだ勧めてもらったやつのお陰で、調子が良いんです」と言ってもらえたら、死ぬほど嬉しくて、先輩や同僚に自慢して回ります。
BAのことは基本、へしきり長谷部だと思ってもらっていいです。
どうぞお気軽にご相談ください。あなたのことを教えて頂ければ、あなたにぴったりのものを提案してみます、主命とあらば!
2.ご要望は何なりと
さて、基本情報を教えて頂ければ、ΒΑはいくつか提案できることがあります。
しかしその前に、更につっこんだところを教えてください。
ご予算はいくらですか?
これはぶっちゃけΒΑからは聞けません。お金の話は身内でも慎重にと申しますからね。
この質問ができないので、ΒΑは勝手に推察するわけです。
「ああ、お母様連れでいらっしゃってるから、若い子向けのブランドのものを一式全部勧めても買ってくれそうだな」「若い友達同士で来てるのは、多分片方が美容にお金をかける方で、もう片方は付き添いかな」「この服装にこのメイクなら、これ以上の金額のものは嫌な顔をされるだろう」などなど。
でもそれって、双方にとって損ですよね!
ΒΑの想像で話を進めると、相談に来たはずの皆さんは見当違いの話を勧められて、何の成果も得られませんでした!! って帰ることになるかもしれない。
なので、嫌でなければ、「1000円前後で何かいい化粧水はありませんか?」等と聞いて頂けると、こちらとしても提案がしやすいです。
もし金額に関してはものによりけりだと思われているなら、「私の希望に合う化粧水を、値段に関わらず教えてください」等と聞いてもらえると、複数の提案ができると思います。
それから、
- メイク落としを相談したいのであれば、オイルがいいのかジェルがいいのかクリームがいいのか?
- いつものお手入れにプラスして美容液などを足してでもお悩みを解消したいのか?
など、ある程度の方向性を明確にして頂けると、お悩みに則したものが提案できるかと思います。
イベントガチャを引く時は、「こいつに出て欲しい!」と思いながらガチャを引かれるかと思います。
ランダム封入グッズ買う時も、「頼むからこいつ一発で出てくれ!」と思いながら買うと思います。
事前にある程度の希望を用意していてくださると、大変ありがたく思います。
3.相談に行くカウンターは選んでください
超ぶっちゃけた話をします。
ΒΑもボランティアではありません。仕事でやっています。
ノルマがあります。
月何個とか、1人何円とか、目標の具体的な数字はその会社、メーカーによって違いますが、とにかく売りたいものが明確に設定されています。
なので、もしかすると、新商品や注力商品に絞って勧めてくるかもしれません。
それがお客様のお悩みに添うように提案はしていますが、中にはとにかくノルマをクリアしたくて話を進めるΒΑもいるかもしれません。
百貨店なんかだと特に、カウンターごとに完全に会社が違います。
どうぞお好きなスポーツ漫画を思い浮かべてください。
各校勢ぞろいの全国大会が、百貨店です。
それぞれの学校(カウンター)で、その特色も、プレースタイルも、人間関係の雰囲気だって、違います。
進学して入部する学校は選びましょう。
あなたがしたいプレースタイルに合っているかどうかを、慎重に見極めてください。
そのメーカーの商品の使い方や特徴に関しては、彼女たちに勝るアドバイザーはいないので、専門性を求める方は、各メーカーごとのカウンターにいくのはとても有益です。
同時に勿論、ひとつのメーカーに絞らなくてもいいです。
カウンターを学校と言ったのは例えであって、あなたが他の学校と二重在籍していても何ら問題はありません。
BAは「お客様が今使っているものを否定してはならない」と教育されていますし、自分だって自社商品に不満があったり他社商品が好きだったりするので、他のメーカーのものを使ってるからといって怒ったりしません。
なので、自分が良いなと感じているものは大事にしてください。
寄ったカウンターで勧められたものを全部使う必要はありませんし、ひとつのメーカーに絞る必要もありません。
ただ、ひとつのカウンターに立ち寄ったら、そこのメーカーの商品をひたすら勧められることだけは覚えておいてください。
他のメーカーの商品の悪口は言わない代わりに、自社商品の悪口もあまり言いませんよ。
逆に、ドラッグストアや商店街の化粧品専門店なんかには、各メーカーのΒΑとは別に、その店を経営する会社のスタッフで全メーカーを横断して商品を取り扱っているΒΑがいます(私はこのタイプです)
こういう人たちは、各メーカーのBAより専門性が劣る代わりに、各メーカーの長所短所を把握しているので、幅広く提案ができます。
しかし我々も、今月はこのメーカーのこの商品オススメ、来月はまた違うもの……と目標が設定されていることがあります。
自分に役立ちそうなことだけ、うまく選び取って活用してください。
4.BAができること
BAができることをざっくり記しておきますので、して欲しいことはお申し付けください。
ただあくまでざっくりなので、お店によってはできないこと、逆にそれ以上できることもあると思います。ご参考までに。
- ファンデーションの適切な色選び
- メイク品の試し付け
- お悩みに合わせたメイク(道具、方法)の提案
- お悩みに合わせたスキンケア(道具、方法)の提案
基本的にお客様の「私に合うものはどれですか?」にお答えするのが仕事なので、試してみたいもの、プロ目線で助言が欲しいものは、お声かけ頂ければ手伝わせて頂きます(勿論、我々から「付けてみませんか?」等とお声かけすることもあります)
美容のプロたるもの、お客様のフルメイク・フルスキンケアくらいできなくてどうします?
5.補足
メイクの悩みで大体飛び出すのが、眉の描き方・手入れの仕方です。
眉カットをしてほしいと仰る方が結構います。
率直に言うと、法律違反になるのでできません。
刃物を持って人体に何かしらの施術をするのには、資格がいります。
具体的に言うと、美容師と医者なら可能です。
昔はそんな法律もなかったので、年輩のBAは求められれば応じる方も結構いらっしゃいますし、その技術を持ってる方も多いです。
しかし、基本的にはやはりアウトなことなので、「うんうん、眉のお手入れ大変ですよね~わかります~だが断る!」が前提です。
一方で、顔のパーツやメイクの傾向から、理想的な眉を描いて差し上げてアドバイスすることは可能です。
ご希望であれば、理想的な眉を描きますので、おうちに帰ってその理想の眉に必要ないところをご自分でカットしてください。
簡単になるかもしれませんが、今度眉の描き方も記事にしますね。
それから、メイクすることになった男性からの相談というのも、珍しくはないです。
男性の方でも気後れせず、どうぞご相談なさってください。
上背のある男性一団がいらっしゃって、「友人の結婚式で余興をやるんだが、そこで女装するからメイク品を選んでほしい」なんてことも、一度や二度じゃありませんでしたから。
というわけで、簡単ではありますが、美容部員の脳内について見てきました。
どうぞ皆様、良い意味で活用できる踏み台は活用してください。
皆様の「綺麗」のお手伝いをするのが、BAの仕事です。